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LASTのリョージさんって何者?名店のバイブスを受け継ぐ変わらない佐世保の“灯り”


サムネイル

2024年3月10日(日)に佐世保のカフェシーンだけでなく音楽シーンも牽引してきたcafe & bar LASTが惜しまれながら一旦の営業を終了した。たくさんの人が訪れる人気店を生み出したリョージさん。男女共に多くのファンを持つおヒゲとタトゥーが素敵なアニキについて深掘りしていくインタビュー第2弾。



ヒゲはアイデンティティ、タトゥーは覚悟の証


リョージさん
髭が素敵なアニキ

LAST誕生の背景には、まず佐世保における喫茶店やカフェが少ないということ。また、お酒が飲めないお客さんにも、自身の好きなミッドセンチュリーインテリアに囲まれた空間で落ち着いた時間を過ごしてほしいという思いがありました。


万津町のカフェドットファイブや東彼杵郡波佐見町のモンネ・ルギ・ムックなど、同世代のオーナーたちが新しい風を呼び込む店舗をオープンしたという追い風も手伝いました。


「でも、周りの先輩は『すぐ割れるし食器にこだわるなよ』って言ってたけど、同じ飲み物でもマグ次第で何コレかわいい!ってなって、興味を持ってくれるきっかけになれれば。モンネ・ルギ・ムックとドットファイブの存在はデカい。ムックに至っては、地元の人じゃなくてもしっかりとしたコンセプトで店を作ったら伝わる、こんなに流行るんだって。それでカフェをやったの。お客さんが限定されないかなと心配だったんで、初期は昼間の時間帯も営業して、ポップアップして帽子屋さん呼んだりとかクラブイベントしたりとか、シンガーさん呼んでライブイベントしたりしてた。二年目からスタッフを雇って17時~翌朝5時営業にシフトして。でもランチもやってみたいな~とか、そういうふうにカフェだったら色んなことができるかなと。プレオープンの時に100人以上来てくれたんよ。『めっちゃオシャレ!』って友達連れてきてくれたりとか、『頑張ってね!』って応援してくれたりする。で、翌日17時にグランドオープンして、ちょっとしたおつまみみたいなの仕込んだりしてたんだけど9時までお客さんゼロやった。ええ~って、まじか、って思って。俺やってしまったなって頭抱えた。銀行からの融資、人生初めての借金やったから。でも9時からお客さんがちらほら来てくれて満席になって良かった~って。昔からの顔なじみも来てくれたけど、どんどん新しい顔のお客さんも増えてくれた」


LASTでは、これまでリョージさんが体験してきたさまざまな佐世保カルチャーを多くのお客さんを楽しませつつ若者たちにも受け継いでもらいたいと、ゲストを招いてのライブやDJイベントなどを継続。リョージさん自身も、21歳から始めたDJスキルで音鳴らせパーリナイすることもありました。


DJするリョージさん
レッツパーリナイなアニキ

「そういえば、音楽はよく聴くけど楽器はやらない。兄貴は長渕剛に影響されてギターやってたけど。DJはいま趣味でやってるけど、プレイヤーとしてじゃなくて、そういうこう、物を作ったりとかするんじゃなくて、ディレクションする、こういうのかっこよくない? とか。DJもそうじゃん。自分がかける曲でお客さんが盛り上がってくれる。でもそれでもミーハーなやつばっかりじゃアレだから、こういうのカッコよくない?って(かける)。インテリアでもそうで、こういうのよくないっすか、カッコよくないっすか、このグラス可愛くないですか?って。もともとそういう性格なのかなって思う。だから、自分でプレーしたいってのはない。ギターさわってみたいなってのは少しあったけど、やっぱ違うな!みたいな」


ところで、すっかりリョージさんのアイコンとなっているおヒゲとタトゥーは30歳過ぎ、LAST開業をきっかけにこしらえたもの。


「タトゥーはシール。月1で張り替えてるんだけど、ちょっと貼る位置がズレちゃって毛とか巻き込むときがある」そんなわけない。月と星は、夜を彩るカフェバーのイメージだそう。


「星も月も日中は見えてるわけじゃない。俺のなかでラッキーアイテムだから、昔からこのモチーフは好きで。自分が好きな松本大洋の漫画にも、星と月が出てくるっさね。自分の仕事に覚悟がほしい。ここまでくればサラリーマンはもうできないし、敢えて見える所に(タトゥーを)入れた。覚悟ね。あと、胸にもあるっさ、ツバメのトライバル。ツバメを入れる人って2羽入れるんだけど、昔、水夫さんがこう、沖に出る前に一羽入れて、戻ってきたらもう一羽入れてた。仕事が無事にうまくいって戻ってこれますようにって意味。俺も仕事頑張ろうって、成功を祈って2羽入れてる。で、心臓とスカル、花のモチーフは、死生観を。いつかは誰もが死ぬわけで、綺麗に咲いてても次第に枯れていく。一生懸命生きようということで。心臓って一番重要な器官だから、そこに花を咲かせようと」


おヒゲを生やし始めたのもその頃から。自分から切ろうと思ったことはないけれど、現在の奥さんとの結婚式の際、けじめとして(?)断髭式が行われ(??)各テーブルのゲストによって少しずつハサミが入れられ祝福を祈願されたそう(???理解が追いつかずハテナがいっぱい出ました、すみません)。


念願の店舗をオープンし、覚悟をその身に刻んだリョージさんは、もう一つのライフワークとなるコーヒーの世界にも足を踏み入れることに。


新たなライフワーク、それはうまいコーヒー


語るリョージさん
うまいコーヒーとはなんだろう?

「コーヒーは色んな所で飲んできたけどうまいと思ったことなかった。けど、(ジジのは)めちゃくちゃうめえと思って」


LASTをオープンして3年が経った頃にリョージさんが足を運んだ喫茶店・ジジ。そこは、お客さんとしてLASTに来てくれたケンジさんが営むお店でした。


「ネルドリップで淹れてるのも初めて飲んだし、コクが深いんだけどすごくトロッとした口当りでアフターがまったりしなくて、むしろ高級ブランデーのような芳醇な香りだった。なんだこれ、って」


人生で一番衝撃を受けたコーヒーの味。その味こそがリョージさんが求めるものでした。しかし、自身でそのコーヒーを提供するにはまだLASTを開店して年数が浅く、知識も経験も足りなかったことから、約2年ほどかけてジジとコーヒー豆の焙煎元に通い詰めるようになり、LASTのオリジナルブレンドが生まれたのでした。


現在、広田にある「cafe mellow」でも飲むことができるLASTのオリジナルブレンドコーヒーは、10年近く経った今でもその味を追求中。


「俺のコーヒーの原体験は、やっぱりケンジの淹れるコーヒー。たまにふらって店に帰ってきてLASTのコーヒーを飲んでくれて、めっちゃうまいっすねって言ってくれて。そんときめっちゃ嬉しかったね。あのとき自分が感じたうまいコーヒーを10分の1でも感じれるようなコーヒーを淹れたい。ずっと完成じゃない。やっぱ温度でも味が変わるし、ドリップのスピードも違う。ハンドドリップだと人によって個性が出る。試飲して、お客さんに提供できるレベルとしてはクリアしてるけど、さらに2杯目、10杯目ぐらいでもっと美味いコーヒーが出来る。20杯淹れて1杯しか出来ないのを、15、10とコンスタントに、理想は試飲した時にうまいとおもったら毎回その味になることだけど、いまだに『めっちゃうまい!』ってときがあるから、常に出せるようになりたいなって思う」


追い越したい背中に少しでも近づきたい、そんなリョージさんのコーヒー道もまた、彼の人生をさらに深くするカルチャーの1つとなりました。


「LAST」は続くし、培ったものをもっと大きくしたい。


LASTイベントの様子
LASTいったんのフィナーレはSmall Circle of Friendsによるパフォーマンス

2024年3月で、LASTは新たな節目を迎えました。これまで培ってきたものを大きくし、佐世保にさらなるビッグなカルチャーを呼び込んでもっとまちを盛り上げたいというリョージさんの思いは変わりません。


「佐世保のカルチャーの土台をつくった人たちから教えてもらったから、それを引き継いでもっとよくしていきたいってのが原動力かな。いまだにやれてんのかなって思うけど。でも責任みたいなものは感じる。やんなきゃなみたいな。だから、こないだみたいにヒロシくん(TAP編集長)と『Confection Room(佐世保市民文化ホールを会場とした音楽イベント)』を一緒にやろうってなった時もさ、言うだけ番長にならず『俺らがやるから、みんなも盛り上げてくださいね』って示さないといけないなって」


文化を受け継いで引き継ぐ。言葉にすると簡単だけど、実際にはそううまくいかないのが実情です。イベントの場を創りあげることはもちろん、その後のフィードバックや継続していくための仕組み作りも重要。まさに泥まみれの世界と言えるでしょう。


体育会系ってのが根本にあるから、俺うるさいよ。俺もいまだに先輩たちから言われたりするし。『なにやってんの、これじゃ盛り上がらんやろ』『うっす』みたいな。でもなんか、『めんどくせえな』って思われても良いから言わないとなと思う。それでお店に来なくなったとしても、よそで同じことやろうとしたときに思い出してしっかりしてくれたら。そいつのためになれば良いなと思う。『時代が違う』とも思いたくないから、なんでも『いいやん!すごいやん!』みたいな、それはしたくない。間違ってると思ったことには注意というか説教というか、自分がそうされてきたから。やっぱり時代が違うのかもしれんけど、それで片付けられるほど、自分が経験したことって軽くない、受け継いできたものは」


「一番にあるのは、そいつがさらに面白いことやって佐世保のカルチャーが盛り上がってくれれば良いと思うし」


「わざわざ都会に行く必要がなくなった」、そう感じられるほど衝撃的だったカルチャーを生み出してきた佐世保には、さらに盛り上がっていくポテンシャルがあると話すリョージさん。


スカイラブハリケーンを説明するアニキ
スカイラブハリケーンを説明するアニキ

「自分が関係しているところで言うと、盛り上がっているというか年を追うごとに成長しているなってのはある。それは佐世保だけじゃなくて波佐見のほうでも、おもしろい動きがあってるし、佐世保だってLAST以外にも。だからもっと良くなるって思うかな」


「『やってやろう!』っていう、若いやつらの、自分が20代の時に見た30代のオーナーとかめちゃくちゃカッコ良かった。そういう人たちの年齢をとっくに越えてしまってるけど、あのとき感じたことを今の若い子たちにも感じてほしいから頑張らないと。あと、そういう自負もあるんよね。『全然おまえらおもんないよ』って。45の俺の方がおもしろいってどゆこと(笑)!?みたいな、負けねえよみたいな」


最近なぜか腕相撲を挑まれる謎のムーヴメントが起きているらしく、その都度、スイーツを練り上げる筋力でもって挑戦者たちを制覇しているというリョージさん。若者たちの壁となるのは愛着があってのことだと、柔和な眼差しが教えてくれました。


「若い子らが、LASTの移転先どうなってるんですかって気にしてくれる。コロナ禍で来れなかったって子が来てくれて。移転考えてるよって応えたら、近くですか、良かったです!って。そういう子らのためにもね、頑張って続けていかないとなって」


「BAR COLOR」のバイブスを引継いだオープン時からずっと変わらない兄貴の心意気は、「Sputnik」や「cafe mellow」と同様に、これからも佐世保に灯りをともし続けます。


「自分だけじゃここまでやってこれてないし、お客さんだったり仲良い後輩だったり、そういう人たちに支えられて。先輩たちから引き継いだものをもっと大きくしたい」


多くの同伴者たちとともに。


 

【施設情報】

sputnik(スプートニク)

住所:長崎県佐世保市広田1丁目36-37

定休日:木曜日


【店舗情報】

cafe mellow(カフェ メロウ)

住所:長崎県佐世保市広田1丁目36-37

定休日:木曜日

[営業時間]

ランチ:11:30~14:00 L.O.

カフェ:12:00~18:00

※ランチ営業についてはインスタでお知らせをしております

※駐車場は台数に限りがありますので、乗り合わせでのご来店をお願い致します。

公式インスタグラム:https://www.instagram.com/cafe_mellow_sasebo/

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